市場は、ベトナム文化を象徴する存在のひとつ。だからこそ、ある土地の文化を手っ取り早く知りたいなら、まずは市場に行ってみましょう。人々の暮らしぶりややり取りの様子から、その地域の空気感が見えてきます。ホイアンももちろん例外ではありません。

ホイアン市内の市場は、どれも文化的な魅力にあふれています。
たとえば、セントラルマーケットは旧市街の入り口にある活気ある市場で、さまざまな商品が並び、色とりどりの光景が楽しめます。
タインハー魚市場はホイアンや周辺エリアに海産物を卸す専門の市場で、早朝からにぎわっています。
一方、地元の暮らしに密着した市場としては、オンコップ市場やバーレー市場があり、日用品の売買が日常的に行われています。
それぞれの市場に出かけて、その場所ならではの魅力を発見してみましょう!
1. ホイアン・セントラルマーケット

セントラルマーケット(ホイアン市場)は、旧市街の入口すぐに位置し、その便利な立地からホイアンでも人気の観光スポットのひとつとなっています。
市場内では、野菜、エビ、カニ、魚、肉などの生鮮食品のほか、布地、洋服、地元の特産品、ベトナムらしいお土産も手に入ります。
ホイアンにある4つの市場の中でも、この市場は規模が一番大きく、ホアンジエウ通り(カムナム橋のたもと)から、チャン・クイ・カップ通り(旧市街の中心部)まで広がっています。エリアは次のように分かれています:
- 川沿いには海産物売り場
- ホアンジエウ通り側の建物は乾物売り場
- チャン・クイ・カップ通りに面した建物は「ホイアン・フードマーケット」で、主に精肉(家畜や鶏肉)を販売
- ファブリック(布)売り場は、インスタント食品と乾物の売り場の間に位置
この市場の注目ポイントは、飲食スペースが整理されていて清潔感があるところ。バインミー、バインセオ(ベトナム風お好み焼き)、クアンヌードル、アヒルのおかゆ、チェー(甘いデザートスープ)など、ホイアンのローカルフードが気軽に楽しめます。

なお、この市場は旧市街の中にあるため、車は通行できません。自家用車やタクシーで訪れる場合は、旧市街の外にある駐車場を利用し、そこから徒歩でアクセスしてください。
営業時間は毎日6:00〜18:00。最もにぎわう時間帯は朝の7:30〜9:30ごろです。
2. タンハー魚市場 (Thanh Hà Fish Market)

タンハー魚市場は、ホイアン旧市街の中心から西へ約3km、トゥボン川のほとりに位置し、タンハー陶器村への入口すぐの場所にあります。この市場は、ホイアン市内や周辺のレストラン、ホテル、大小さまざまな市場に海産物を供給する重要な役割を担っています。
市場の一日は毎朝3時からスタート。水産業者や卸売業者、荷運びの人たちが、最初の船の到着を待ち構えます。
取引は非常にスピーディーかつ活気に満ちていて、海から水揚げされたばかりのキラキラと輝く魚やエビが、たくましい男性たちの手によってどんどん陸に上げられていきます。彼らはそれらを素早くプロの手つきで分類し、すぐに大小のトラックに積まれて市内外へと出荷されていきます。
この市場では、魚・エビ・カニといった海の幸を中心に売買されますが、それだけではなく、ここには漁師や買い手たちのリアルな日常とエネルギーが詰まっていて、まるで一本のドキュメンタリー映画のような雰囲気も感じられます。
訪れると、漁から戻ってきたばかりの達成感にあふれる空気、そして仕事に対する情熱が伝わってきます。新鮮な魚でいっぱいのかごを見るだけでも、「今日も豊かな一日が始まるんだな」という気持ちになれるでしょう。
見学のベストタイムは、朝5:00〜5:45の間。この時間帯に行くと、活気ある市場の様子を体感できます。
一年を通して海産物は取引されていますが、特に9月と10月が最もにぎわいを見せる季節。市場の見学にもおすすめの時期です。
アクセスは、車やタクシーが便利。前日のうちに車とドライバーを手配しておくと、翌朝の早い時間でもスムーズに市場へ向かえます。
訪問の際は、撮影する際に立ち位置に注意し、忙しい取引の邪魔にならないよう心がけましょう。
3. オンコップ市場(Ông Cọp Market)

オンコップ市場(別名:タンアン市場)は、ホイアン旧市街の中心から北へ約1km、タンアン地区スアンミー3組にあります。地元の人たちにとっては、肉・魚・野菜・果物など、日々の生活に欠かせない食材をそろえる市場です。
特に注目したいのは、ここで売られている葉物野菜の多くが、ホイアン市内の有機野菜の名所「チャークエ野菜村」から仕入れられていること。そのため、野菜はどれも新鮮で若々しく、香りもとても良いんです。
旅行者にとって、この市場はホイアンで2番目ににぎわうローカルマーケットというだけでなく、「オンコップ」という名前の由来にも興味をそそられることでしょう。
市場周辺に長く住んでいるお年寄りの話によると、昔このあたりは草木が生い茂る砂地で、キツネやイタチ、野良猫などが穴を掘って住みついていたそうです。夜になると、それらの動物が家に入り込んで鶏やアヒルを盗んだり、食料を荒らしたりしていました。
村人たちはいろいろな方法で追い払おうとしましたが、なかなかうまくいきません。そんなある日、森の奥から「ガオーッ!」という虎の鳴き声が響いたのです。それ以来、野生動物は少しずつ姿を消し、被害も収まっていきました。
その後、村人たちはケガを負った虎の死体を発見します。どうやら森で別の動物に襲われ、逃げてきたようです。その虎のおかげで村が救われたと感じた人々は、虎を埋葬し、感謝の気持ちを込めて祠(ほこら)を建てたのです。

この地域では虎のことを「コップ」と呼ぶため、その祠は「オンコップ(=虎のおじさん)祠」と名付けられました。現在の祠は1963年に建て直され、正面には力強い虎の姿が描かれたスクリーンが設置されています。
市場はこの祠のすぐ隣にあり、地元の人々はタンアン市場よりも「オンコップ市場」や「オンコップ祠市場」と呼ぶことが多いんですよ。
市場の営業時間は一日中ですが、最も活気があるのは朝6時〜9時ごろです。
4. バーレー市場 (Bà Lê Market)

レタントン通り沿いにあるバーレー市場は、正式には「カムチャウ市場」と呼ばれています。クアダイ通りに面していて、ホイアン旧市街とクアダイビーチをつなぐ道沿いにあるため、地元の人やビーチへ向かう観光客にも便利な立地にあります。
規模こそ大きくないものの、周辺に住む人たちにとっては、日常生活に欠かせない品物がひと通りそろう、頼れる市場です。
市場に入ると、左手には麺類やフォー、ブン、バインミーなどのローカル料理を楽しめる飲食エリア、右手には新鮮な食材コーナーが広がっています。

中でもぜひ試してほしいのが、「ナムヴァン麺(フーティウ・ナムヴァン)」の一杯。香菜の香りと、骨からとった甘みのあるスープ、ぷりぷりのエビやお肉の旨みが混ざり合い、思わず虜になる味わいです。
この「バーレー市場」という名前について地元の人に尋ねると、昔この場所は何もない空き地だったそうです。そこに、レさん(Lêさん)という女性が、鶏や卵、野菜、ウリ類など自宅で育てた農産物を持ってきて販売を始めたのが市場の始まり。やがて近所の人たちも同じように品物を持ち寄るようになり、自然と市場が形成されていきました。そうした背景から、「Bà Lê(バーレー)=レさん」にちなんで名付けられたのです。
※「バーレー市場」という名称は、「レさん(Bà Lê)」という女性の名前に由来します。ベトナム語で「Bà」は年配の女性への敬称、「Lê」は人名です。
バーレー市場はオンコップ市場と同様に一日中営業していますが、最も活気があるのは午前8時30分までと午後4時以降の時間帯です。
市場自体はコンパクトなので、20〜30分もあればひと回りできます。そのため、旧市街からクアダイビーチへの移動途中や、カムタイン・ココナッツ村への観光のついでに立ち寄るのがおすすめです。

市場での売買や値段交渉の様子を観察していると、ホイアンの人々やこの土地ならではの文化や人柄が垣間見えてきます。
ホイアンの人たちは、素朴で誠実、そしてとてもフレンドリー。だから、買い物もどこかのんびりしていて、売る側も高すぎる値段はつけないし、買う側もあれこれ値切ることなく、納得して品物を選びます。
ホイアンの市場で特に目を引くのは、新鮮で美味しい葉物野菜や海水魚たち。農業と漁業が盛んなこの地域で、人々が手間ひまかけて育てたり獲ったりしている成果なんです。
市場では、人と人との距離がとても近いことにも気づくでしょう。ちょっとした話が盛り上がって、何時間もおしゃべりしている人たちも珍しくありません。それは、地元の人々の強いコミュニティ意識を表しています。
そして何よりも見逃せないのが、ホイアンの人々の温かくてオープンなおもてなしの心。どこから来た人でも、どんな言葉やアクセントで話しても、ここではみんなが笑顔で迎えてくれる――まるで昔からの友人のように。
だから、ホイアンの市場巡りは、旅の中でも特別な体験としてリストに入れておきたいですね!